はじめに

 

音楽って楽器を演奏するだけでなく、音楽を通して色んなコミュニケーションの可能性があります。

カテゴリーの「音楽と〇〇」はピアノとは違った側面から、

また音楽を通して関わった他業種の方々の視点から、音楽を見ていきたいと思います。

 

今回は 音楽と言葉 です。

 

言葉という側面から音楽のフィールドで活躍されている山崎円城さんにインタビューさせて頂きました。

山崎円城さんHP

http://madoki-yamasaki.org

 

Interview

音楽のフィールドで言葉の表現。
どんなきっかけではじめたのでしょうか。

 

中学二年のときに、家の近くに捨てられていた足踏みオルガンを見つけて、

思わず部屋まで運びました。それまで音楽は全くやったことがなくて、

部屋にオルガンがあったら格好良いだろうな。くらいの軽い気持ちです。

 

部屋においてみたら、なんとなく弾いてみたくなって、

試しに音を出しているうちに、

単音のたどたどしいフレーズが出来て、

それをつなぎ合わせていると、何となく曲になって行きました。

 

そのときに、足りない部分をカバーしたくて、初めて言葉も出て来ました。

 

でも、もっと弾けるようになりたいと思ったときに、

普通は習ったりすると思うのですが、

ぼくは自分の曲を作り始めました。今でも不思議です。

 

楽器とかでなく、Hip Hopの人が、レコードをスクラッチやサンプリングして、

自分の身近なものを組み合わせて音楽を作ったのですが、

ぼくのはそれに似ていたなと、大人になった今感じています。

 

詩は、オルガンを拾う以前から始めていて、

 

自分の詩を発表しようとしたとき、

ぼくが10代の頃は、ネットもSNSもなく、

また同人誌に投稿するのも、自分のスタイルと違うなと思っていたところ、

 

そうして作った音楽・リズムの上に、自分の言葉があるのが一番生き生きして自由に思えたから、音楽の上で言葉を表現することを始めました。

当時はラップ登場以前で、ぼくは全くと言っていいほど、音楽を知りませんでした。

 

円城さんの作る詩のワードが主語を限定しないので、
色んな方向に意味合いを捉えられて想像力がかき立てられます。
詩を書くときに気を付けていることってありますか?

 

大人にも、子供にも、

分かる言葉を書こうと意識していて、

 

言葉というのは、時間を積み重ねた石みたいなものだと思っています。

 

例えば「私」という言葉は、同じ言葉だけど、

 

10才の人が使う「私」

60才の人が使う「私」

 

響きが違って来ます。

 

庭園の石と言ったら大げさだけど、

 

ぼくの詩はそれに近くて、

 

見る人によって感じ方が違うのが普通なので、

 

だから、そこにあまり主観を残さず、

人に委ねることを意識しています。

 

ぼくの作っている詩は物語でなく

景色といったところでしょうか。

 

難しい言い回しですね。(笑)

 

共演させて頂いた時に気がついて驚いたことがあります。
声の高さを曲の響きに合わせていたことと、抑揚が曲の構成に合っていたのですが、
音楽的な側面からアプローチしているところもあるのでしょうか?

 

多分、ぼくのやっているのが、

所謂ポエトリーリーディングと違って聴こえるのは、

言葉という楽器を使って音楽をやろうとしているからだと思います。

 

朗読に音楽を合わせてもらうのではなく、

ぼくはジャムセッションのように、演奏と一緒に呼吸してます。

 

Hip Hopでは、ラッパーと作曲するトラックメーカーが別々なのですが、

 

ぼくは詩人・スポークンワードアーチストとしての印象が強いですが、

実は、自分のバンドの全ての曲を作曲もしています。

 

そういう意味では、完全に音楽的な側面からのアプローチですね。

 

実はパーカッションも叩けるので、

ポリリズム等、しれっとスポークンワーズの間の取り方に持ち込んでます。

 

表現の仕方は昔からずっと変わっていないですか?

 

基本変わらないです。

 

タギングという壁に文字を書くこともしていますが、

若い頃、あのときに自分の言葉を人に読んでもらうために、

人通りの多い場所に描いていました。

 

これは音楽と同様に自分にしっくり来て、今でも続けています。

 

ぼくは自分の言葉が生き生き出来る表現の場所をずっと探しているのだと思います。

 

これからどのような表現をしていきたいですか?

 

特にないです。(笑)

でもどのような表現をしていきたくないかなら言えます。

模倣は嫌です。

人には役割があって、1を10に、10を100にして有名になる人がいるけど、

 

ぼくは0から1

間違いなくその役割。

 

だから何もない場所から、最初の1を作る。そんな表現をして行きます。

 

感想

やっぱり面白いお話が聞けました!

 

作品を一緒に制作させて頂いて、言葉なのにまるでフレーズやリズムにアプローチするような感覚で作曲することが出来たのは、円城さんの仰った「詩は物語でなく景色」というところにあったんだと分かり嬉しくなりました。

 

ぼくは0から1

間違いなくその役割。

だから何もない場所から、最初の1を作る。

 

いいなあ!

ぜひまた作品ご一緒させてください!

 

山崎円城さんとの共同作品

 

ピアノとスポークンワーズ、大阪と東京、今の日常にたたずむメロディと言葉を、

リモート制作により静かにやり取りをして、編まれた楽曲です。

https://ultravybe.lnk.to/IILL

 

I / ill

山崎円城(Vo)

樽栄嘉哉(Piano)

カナミネケイタロウ(Contrabass)

Mixed by 北畑俊明(Alchemy Studio)

Mastered by 福岡直子(Alchemy Studio)

 

Vo dubbing by ghostinmpc

 

Cover design by Little Woody

Movies by 野田昌志

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